朝ベッドで目が覚めると、世界がモノクロになっていた。
人の顔が灰色。窓の外も灰色。テレビを見ても灰色。
あるのは灰色のグラデーションだけ。
こんな世界が突然やってきたら。
世界が灰色になったのは僕だけ。
誰に言っても理解されない。
時間が経っても症状は変わらない。
すべてのものに味気がない。
なくなってから気が付いた。
色が世界を作っていたことを。
色があることは、僕にとっての当たり前だった。
失った途端に世界が変わってしまう。
僕は世界の中で生きている。
世界は大きく、変えることはできない。
僕は小さく、変わることができる。
僕は、受け入れなければならない。
いまの世界を。
僕は、動き出さなければならない。
色を見つけるために。
僕は、楽しめるだろうか。
色のない世界を。